低濃度アトロピン点眼薬による
近視進行抑制治療

当院では、-1.0D以上の近視のある
5歳以上のお子様を対象に、
低濃度アトロピン点眼薬を用いた
近視進行抑制治療を行っています。

低濃度アトロピン点眼薬とは?

アトロピンというお薬を毎日1回点眼します。

アトロピン点眼薬には眼軸の伸びを抑制する効果があると言われ、近視の進行を遅らせることについて、有意な効果が確認されています。世界的には、アトロピン1%点眼を使用した近視治療は1960年代から試みられていますが、散瞳(瞳が開く状態)による眩しさ、目の調節機能(ピントを合わせる機能)の低下による読み書きの困難、顔面紅潮(副交感神経遮断効果)などの副作用がありました。

近年アジア諸国において、低濃度のアトロピン点眼においても近視の抑制効果があると報告され、副作用もほぼないことが確認されました。その後日本でも低濃度アトロピンによる近視進行抑制につき臨床試験が行われ、日本人においても低濃度アトロピンによる近視進行抑制効果が得られています。

治療の流れ

本治療は自費診療(保険適応外)です。
混合診療は認められておりませんので、
保険診療との同日の処方はできません。

  1. 治療の対象であるかを検査・診察で確認します。(初回のみ保険診療)


  2. 翌日以降
  3. 点眼薬処方のためご来院ください。

    初日に点眼薬処方までご希望の場合、当日行った検査、治療などすべて自費となります。

    ※アトロピンの作用により一時的に散瞳を生じ、眩しく感じることがありますが、大抵数時間で元に戻ります。ごく稀に散瞳が長く続くことがありますので、治療初期はよく観察していただき、改善ないようでしたらご相談ください。



  4. 1ヶ月検査
  5. 検査、診察。問題なければ点眼薬3本処方



  6. 定期検査
  7. 3ヶ月毎に検査、診察、処方を行います。



治療の費用の目安

アトロピン点眼薬による治療は、
保険適用外の自由診療です。

治療前
保険診療
(医療症適応可)
視力、スリット検査、
調節麻痺下屈折検査、
その他
翌日
以降
薬剤代
検査、診察はありません
1ヶ月後
1,000円+
薬剤代
視力、レフ、
スリット検査、その他
以降
3ヶ月毎
1,000円+
薬剤代
視力、レフ、
スリット検査、その他
治療開始後必要に応じて、調節麻痺下屈折検査(2,000円)を行う場合があります。
マイオピン 0.01% 3,500円/本 1ヶ月1本
リジュセアミニ 0.025% 4,200円/30本 1日1本

低濃度アトロピン点眼薬の特徴

アトロピン点眼薬のメリット

  • 近視進行を平均約20〜50%抑制する効果があると報告されている
  • 副作用が少なく、安全性が高い(低濃度のため)
  • 毎日1滴の簡単な使用方法(就寝前に点眼)


アトロピン点眼薬のデメリット

  • かすんだり、眩しく感じたりする場合がある
  • 点眼後、瞳孔が大きく開くことでかすんだり、眩しく感じたりする場合があります。多くは一時的なもので、就寝前に点眼すれば翌朝には治っています。基本的には0.025%のリジュセアミニを処方しますが、日中にも症状が続く場合は0.01%のマイオピンを処方します。